狩猟免許試験、一発合格する人が必ず押さえている法律と知識のツボ
合格ラインは70%——つまり21問正解すればいい。
しかし「なんとかなる」と油断した人が実技で落ちる。試験を甘く見てはいけない
管理者より
狩猟免許を取るとき、自分は「法律の問題なら覚えればいいか」と軽く考えていた。ところが試験当日、知識試験は問題なく通過したものの、実技試験の猟具組み立てで思いのほか手こずった。予備講習で一度やっているはずなのに、本番の緊張下では手が動かない。「独学で受けたら絶対に詰まっていた」と後から実感した。この記事では、そのときの経験を踏まえながら、試験に合格するために本当に押さえておくべき法律・ルール・知識を整理する。特に「知識試験の法令問題」に絞った解説は、他の試験対策記事と差別化できていると思うので、ぜひ読んでほしい。
はじめに
狩猟免許試験は、知識試験・適性試験・技能試験の3つで構成される。合格ラインは70%で、30問中21問以上正解すれば知識試験は通過できる。しかし合格率が高い試験とはいえ、準備なしに挑むと痛い目を見る。特に法令問題は13問出題されており、全体の約43%を占める最大の得点源だ。ここを落とすと一気に合格が遠のく。また実技試験では、わな猟受験者の不合格の9割が技能試験と言われるほど、実技の壁は高い。試験の全体構造と各科目のツボを、正確に把握してから臨んでほしい。

試験の全体像——何を、何問、どう出題されるか
狩猟免許試験の知識試験は、大きく4つの出題分野に分かれている。出題数の割合を把握することが、合格への最短ルートだ。
| 出題分野 | 出題数(目安) | 主な内容 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 法令(鳥獣保護管理法等) | 13問 | 鳥獣保護管理法・銃刀法・火薬類取締法の概要、免許制度、狩猟期間・禁止区域・捕獲制限など | 高い(暗記必須) |
| 猟具に関する知識 | 6問 | わな・銃の種類、使用可能猟具と禁止猟具の区別、くくり罠の規格など | 中程度 |
| 鳥獣に関する知識 | 9問 | 狩猟鳥獣46種の形態・生態、非狩猟鳥獣との識別ポイント | 高い(視覚識別が難関) |
| 鳥獣保護管理に関する知識 | 2問 | 個体数管理の概要、錯誤捕獲の防止など | 低め |
この4分野のうち、法令(13問)と鳥獣識別(9問)の2分野だけで全体の73%を占める。この2分野を徹底的に押さえることが合格への鍵だ。自分が試験を振り返ったとき、得点できた問題の多くはこの2分野から出ていた。
Pt1:法令——全体の43%を占める最重要科目 13問
法令問題は「知っているか知らないか」で決まる、純粋な暗記勝負だ。直感や常識で解ける問題は少なく、条文の内容を正確に理解している人だけが正解できる問題が並ぶ。出題の核心は3つの法律——鳥獣保護管理法、銃刀法、火薬類取締法だ。狩猟に関係する法律はこの3本柱と理解した上で、それぞれが「何を規制する法律か」を明確に押さえておく必要がある。
鳥獣保護管理法(最頻出)——狩猟制度全体の根拠法
正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で、所管は環境省だ。目的は「生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に資すること」とされており、この目的規定はほぼ毎回出題される頻出ポイントだ。「鳥獣の保護のみを目的とする」「農林業の被害防止のみを目的とする」といった誤った選択肢と組み合わせて出題されるので、「多様性・生活環境・農林水産業」の3つのキーワードを正確に覚えておく必要がある。
また、狩猟できる期間(猟期)は全国一律で10月15日〜翌年4月15日が原則であり、一般的に多くの都道府県では11月15日〜2月15日に短縮されていること、そして鳥獣保護区・休猟区・特定猟具使用禁止区域等の指定制度についても問われる。「この区域では何ができて何ができないか」の整理が大切だ。
| 区域の種類 | 内容・禁止事項 | 設定権者 |
|---|---|---|
| 鳥獣保護区 | 鳥獣の保護のため捕獲を原則禁止 | 環境大臣・都道府県知事 |
| 休猟区 | 狩猟鳥獣の保護のため狩猟を一時禁止 | 都道府県知事 |
| 特定猟具使用禁止区域 | 特定の猟具(銃等)の使用を禁止 | 都道府県知事 |
| 特定猟具使用制限区域 | 特定の猟具の使用を制限 | 都道府県知事 |
⚠ 試験で特に引っかかりやすいポイント
「狩猟免許は都道府県ごとに登録が必要」「有効期間は3年」「更新には適性検査が必要」「捕獲結果の報告義務(猟期終了後30日以内)」——これらは単純そうに見えて、年度・期間・手続きの細部を誤って覚えている受験者が多い。「狩猟免許は全国で有効だが、狩猟者登録は都道府県ごとに必要」という区別も要注意だ。
銃刀法・火薬類取締法——出題は少ないが落とせない
銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)は猟銃の所持許可を規定する法律で、火薬類取締法は弾薬の購入・保管・使用に関するルールを定める。第一種銃猟免許を目指す受験者は特にここを厚く準備すること。「銃の所持は免許ではなく許可制」「1銃1許可」という基本概念と、所持許可の要件・更新義務が頻出だ。わな猟免許のみ受験する場合でも、法令問題の共通部分として銃刀法の概要が出題される可能性があるので、基本を押さえておくことは無駄にならない。
Pt2:鳥獣識別——技能試験の「関門」でもある 9問+技能試験
鳥獣識別は、知識試験でも9問出題されるが、技能試験でも「狩猟鳥獣と非狩猟鳥獣の16種判別」が課せられる。技能試験では絵を5秒だけ見せられ、「狩猟鳥獣かどうか」を答え、正しければ種名を答えるという形式だ。1問間違うごとに2点減点で、30点減点で即失格になる仕組みだ。
最も間違えやすいのが「似た名前の非狩猟鳥獣」との混同だ。例えば、ヨシガモ(狩猟鳥)とオカヨシガモ(非狩猟鳥)は名前が紛らわしく、試験でも頻繁に混乱を起こす。判別に迷ったときの鉄則は「非狩猟鳥獣です」と答えることだ。間違って「狩猟鳥獣」と答え、種名まで間違えると複数の減点を食らうリスクがある。自信がない場合は保守的に答えることが減点を最小化するための戦略だ。
⚠ 「ゴイサギ」「バン」に関する注意
令和4年(2022年)9月15日の法改正で、ゴイサギとバンが狩猟鳥獣の対象から外れた。古いテキストや動画では狩猟鳥獣として解説されているものがあるため、最新の狩猟鳥獣リスト(環境省ホームページ)で確認すること。出典が古い学習教材には要注意だ。
📝 私の経験
自分が試験を受けたとき、鳥類の識別は「わな猟だから鳥は関係ない」と思い込んで準備が甘かった。技能試験でわな猟は獣類のみの判別になるが、知識試験の鳥獣問題では鳥類も出題される。わな猟受験者が「鳥のことは勉強しなかった」と試験当日に気づいて焦るケースがある——実際に隣の受験者がそれで頭を抱えていた。鳥類も含めて準備することは絶対に必要だ。
Pt3:猟具の知識——「禁止猟具」の正確な理解が命取り 6問
猟具問題は出題数こそ6問と少ないが、現場での安全と法律に直結するため、重要度は非常に高い。出題の核心は「使用可能猟具と禁止猟具の区別」だ。わな猟の受験者なら、くくりわなの規格要件を正確に知っておくことが必須になる。
くくりわなの規格——試験でも現場でも必須の知識
くくりわなには、法令で明確な規格制限がある。イノシシ・シカを対象とする場合、①輪の直径12cm以下、②締付け防止金具の装着、③よりもどし(スイベル)の装着、④ワイヤー直径4mm以上という4つの要件を満たす必要がある。これを1つでも欠くと禁止猟具に該当し、設置自体が違法になる。試験でも「以下のくくりわなのうち禁止猟具はどれか」という形で問われる頻出テーマだ。
また、「宙吊りにできる構造のわな(吊り上げ式)」は人の生命・身体に重大な危害を与えるおそれがあるとして禁止猟具に指定されている。さらに、ヒグマ・ツキノワグマの捕獲にはすべてのわなの使用が禁止されている点も、試験で引っかかりやすい箇所だ。
試験の知識が現場の安全につながる
くくりわなの規格は試験対策として暗記するだけでなく、実際の猟場で毎回確認すべき内容だ。試験でこれを覚えることが、免許取得後に自分を守る知識にもなる。「なぜこの規格があるのか」を理解した上で覚えると、現場でも応用が効く。
Pt4:技能試験——「独学では受からない」と言われる理由 100点満点・減点方式
技能試験は100点満点の減点方式で、70点以上残れば合格だ。30点の減点で即失格になる項目もあるため、一度の大ミスが致命的になる。わな猟・網猟免許試験においては「試験に落ちる9割はこの技能試験」と言われるほど、実技の壁は高い。
わな猟の技能試験では、
①鳥獣判別(16種)と
②猟具の取り扱い(禁止猟具の判別+捕獲可能状態への組み立て)
の2つが課される。特に②の「くくりわなを捕獲可能な状態に組み立てる」作業は、手順・方向・安全確認のすべてが採点対象になる。一度も触れたことのない状態で本番に臨んでも、まず合格できない。
📋 参考:近年の試験傾向
2025年に鳥獣保護管理法の改正(緊急銃猟制度の創設)が施行されたことにより、新制度の内容が試験に反映される可能性がある。改正鳥獣保護管理法の「危険鳥獣」「緊急銃猟」といった新しい概念は、最新の狩猟読本や環境省の案内で確認しておくことをすすめる(出典:鳥獣保護管理法改正、2025年9月施行)。
講習について
技能試験の猟具組み立てで、「たしか予備講習でやった手順はこうだったはず」と記憶を頼りにやったところ、安全確認のタイミングが1つズレていたらしく減点を食らった。予備講習を受けていたにもかかわらず本番で詰まるのだから、独学で受けていたら確実に詰まっていたと思う。予備講習は「合格のためのスクール」として、絶対に受けることをすすめる。
試験合格後に役立つ本当の知識
試験に受かることと、法律を現場で使えることは別物だ。自分が試験を通じて学んだことと、実際の猟場で必要になったことの間には、かなりの差がある。ここでは、試験勉強を通じて「これを深く理解しておいて良かった」と思ったことを話したい。
「狩猟免許」と「狩猟者登録」の違いを体に染み込ませる
試験を受ける前は、「免許を取れば猟ができる」と漠然と思っていた。しかし正確には、免許は「猟ができる資格」であり、実際に猟をするには毎年度、猟をしたい都道府県ごとに「狩猟者登録」を行い、狩猟税を納める必要がある。免許は全国で有効だが、登録は都道府県ごとだ。試験でもここは出題されるが、覚えておかないと免許を取った後に「なぜまた登録が要るのか」と混乱する。
「知らなかった」は法律では通用しない
試験勉強をしていると、驚くほど細かいルールが存在することに気づく。くくりわなの輪の直径、標識の文字サイズ、捕獲結果の報告期限——これらは試験でも問われるが、実際の猟場で守らなければ違反になる事項でもある。自分が知らないまま違反していたとしても、法律は「知らなかった」を免責理由としては認めない。試験の勉強は、将来の自分を法的リスクから守る投資だ。
📝読者へ
あなたはなぜ狩猟免許を取りたいのか。「山でイノシシを捕まえたい」「有害捕獲に参加したい」「ジビエを食べたい」——理由はなんでも構わない。しかし試験を通じて法律を学ぶことは、その目的を安全かつ合法的に実現するための、唯一の基礎になる。試験は「ゴール」ではなく「スタートラインの確認」だ。法律を体に入れてから山に入れば、現場での判断が変わる。
まとめ:試験の知識は、合格後の現場でこそ輝く
狩猟免許試験は難関ではない。しかし「なんとかなる」という油断が不合格を生む。法令問題13問を落とさないこと、技能試験の組み立てを本番前に必ず練習しておくこと、そして鳥獣識別は最新リストで確認すること——この3つを守れば、合格はかなり近づく。
今日から行動に移せることが3つある。まず、猟友会主催の予備講習会の日程を管轄の都道府県で確認すること。次に、環境省の公式サイトで最新の狩猟鳥獣リストを確認すること。そして、「狩猟読本」と「狩猟免許試験例題集」を入手して、法令13問分の過去問を繰り返し解くこと。準備した分だけ、合格に近づく。
出典・参考資料
- 環境省「狩猟免許を取得する」(狩猟の魅力まるわかりフォーラム)
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html - 環境省「狩猟制度の概要」
https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html - 高知県「狩猟免許試験の試験内容について」
https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/sikennaiyo/ - 東京都環境局「狩猟免許試験について」(2026年3月更新)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/hunting_license/test - 鳥獣被害対策ドットコム「(わな猟)狩猟免許試験合格のコツ(後編)」(2024年2月)
https://www.choujuhigai.com/blog01/1071.html - 新狩猟世界「狩猟免許『鳥獣判別試験』は狩猟鳥獣の特徴を絞って正確に回答できるようになろう」(2025年5月)
https://chikatoshoukai.com/novice/bird-and-animal-identification-test/ - 新狩猟世界「狩猟免許試験の山場!わな猟・網猟の実技試験を完全攻略!」(2025年5月)
https://chikatoshoukai.com/novice/hunting-license-exam-trap-net/ - くくりカレッジ「狩猟免許(くくり罠)に一発合格する5つの秘訣」
https://kukuricollege.com/hunting-test2/ - 老いぼれハンターの気ままなブログ「狩猟免許試験 例題・過去問題集」
https://hunters-blog.com/20201001-syuryoumenkyo-mondai/ - 狩猟免許過去問ドリル(www.shuryo-menkyo.com)「法令・鳥獣識別・猟具問題集」
https://www.shuryo-menkyo.com/category/all/

