狩猟免許試験で本当に落とされるのはどこか——独学組が知らない3つの落とし穴と教材の選び方【2026年版】
管理者より
狩猟免許を取ってから数年が経つ。取得した当時、「合格率80〜90%」という数字を見て「余裕だろう」と思ったのは正直なところだ。でも実際に試験会場で周りを見ると、筆記を通過しても実技で苦しんでいる人が少なくなかった。Tが仲間のハンターたちから聞く話でも、「一発で落ちた、しかも実技で」という声は今も途絶えない。合格率の数字は、事前講習を受けた人も含めた全体の話だ。独学で本番に臨んだ場合の実態は、あの数字とはかなり違う。この記事では、試験勉強の「本当の落とし穴」を正直に書いておきたい。これから免許を取ろうとしている方に、少しでも役に立てばうれしい。
はじめに
狩猟免許の試験は、一見すると「少し勉強すれば受かる」ように見える。問題数は30問の三択式が中心で、試験時間も90分と余裕がある。だがその印象が、多くの独学受験者の足を引っ張る。試験には筆記(知識試験)・適性試験・実技(技能試験)の3段階があり、それぞれに異なる対策が必要だ。しかも、都道府県によって試験の運用が微妙に異なり、「他の県では出なかった猟具が出た」ということも起きる。さらに、免許の種類——わな猟・網猟・第一種銃猟・第二種銃猟——によっても対策ポイントが変わってくる。どのテキストを使い、どこに集中して時間をかけるか。それが分かるだけで、合格への道は一気に短くなる。
Pt1:まず知っておくべき試験の全体像——「3段階」を頭に入れてから勉強を始めよ
勉強を始める前に、試験がどういう構造になっているかを把握することが重要だ。意外にも、この全体像を誤解したまま本番に臨む人が多い。Tが知っている限り、試験は大きく「知識試験→適性試験→技能試験」の3段階で構成されており、知識試験(筆記)に合格した者だけが技能試験に進める。つまり、どれか一つでも失敗すれば終わりだ。
| 試験の種類 | 内容 | 合格基準 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 知識試験(筆記) | 法令・猟具・鳥獣知識に関する三択30問、試験時間90分 | 正解率70%以上(21問以上) | ★★☆☆☆ |
| 適性試験 | 視力・聴力・運動能力(四肢の屈伸など) | 基準を満たすこと(補助具使用可) | ★☆☆☆☆ |
| 技能試験(実技) | 鳥獣判別・猟具の識別と架設(銃猟は銃の操作・目測も) | 持ち点100点から減点方式、70点以上で合格 | ★★★★☆ |
技能試験は、1問の判断ミスで最大31点の一発失格になることもある減点方式だ。この「一発失格ルール」を知らずに本番を迎えてしまうと、猟具の架設中に致命的なミスを犯してしまうことがある。試験の流れと採点基準は、事前に必ず確認しておいてほしい。
なお、2026年4月現在、試験の回数や同日の複数受験可否は都道府県によって大きく異なる。東京都のように年に複数回あっても同日複数受験が不可の場合や、前期・後期で各1回ずつしか受験できない制限を設けている都道府県もある。複数の免許種を狙うなら、地元の日程を事前に調べて計画的に動くことが大切だ。
Pt2:独学組が本当に落とされる「3つの落とし穴」
「本を読んで過去問を解けば受かる」——そう思っている人ほど、ある特定のポイントで詰まる。Tが周囲のハンターたちから聞いてきた失敗談を整理すると、落とし穴は大きく3つに集約される。
落とし穴 ① — 最頻出の不合格ポイント
実技での猟具の架設——「できる気がしていた」が最も危険
わな猟の実技試験では、猟具の識別(合法・違法の判別)と架設(実際に設置操作)が行われる。わな猟試験で落ちる人の9割はこの実技、という声もある。テキストで知識を入れていても、実際に手を動かした経験がなければ本番で固まる。特に「くくりわな(竹筒式ストッパー付き)」と「はこわな」の架設は、手順をひとつ誤ると大減点だ。独学だけで臨む場合、この部分が最大の弱点になる。
落とし穴 ② — 多くの独学者が軽視するポイント
鳥獣判別——「なんとなく見たことある」では5秒で答えられない
鳥獣判別試験は、提示された絵や写真を見て「狩猟鳥獣かどうか」を5秒以内に答える試験だ。狩猟鳥獣なら種名も言わなければならない。わな猟は獣類16種のみだが、第一種銃猟は鳥類も含む多数の種が対象になる。「なんとなく見た記憶がある」だけでは5秒では出てこない。しかも、2022年に「バン」と「ゴイサギ」が狩猟鳥獣から外れており、古いテキストを使っていると誤答につながる危険がある。
落とし穴 ③ — 筆記試験の「法令問題」の盲点
鳥獣保護管理法の細かい数字——「だいたい覚えた」が通じない
知識試験の法令問題(全30問中13問)は、鳥獣保護管理法や鳥獣被害防止特措法の具体的な数字や条件が問われる。「くくりわなの輪の直径は12cm以内」「錯誤捕獲した場合は直ちに放獣」といった数値や手順を正確に覚えていないと、似たような選択肢に引っかかる。ここは反復練習が必須だ。
📝 私の視点
免許を取ったとき、正直ビビった瞬間がある。実技試験でわなを架設しようとして、「あれ、ストッパーってどっち向きだっけ」と一瞬フリーズしたのだ。テキストでは何度も読んでいたのに、実物を目の前にすると頭が真っ白になりかけた。結果的にはなんとか通ったが、あの緊張感は今でも覚えている。「知識として知っている」と「手が動く」の間には、想像以上の距離がある。
Pt3:「落とし穴」に対応した教材の選び方——3段階の穴を埋める組み合わせ
教材は「何を使うか」よりも「何のために使うか」の順番で考えることが重要だ。前章の3つの落とし穴を念頭に置いて、以下の教材を組み合わせるのがTのおすすめする戦略だ。
Step 1:全体像を掴む「骨格本」——環境省の『狩猟読本』
まず手に取るべきは、各都道府県の事前講習で配布される『狩猟読本』だ。環境省が監修しており、法令・猟具・鳥獣知識・安全管理が網羅されている。鳥獣判別のイラストもこの本に掲載されており、試験本番では狩猟読本と同じ絵が使われることが多い。つまり、この本の絵を「見慣れること」が鳥獣判別対策の基本中の基本になる。都道府県によっては無料配布もある(栃木県など)ので、まず地元の事前講習申込みルートを確認してみてほしい。
Step 2:筆記試験と法令を仕上げる「問題集本」
骨格を掴んだら、次は問題を解く段階だ。ここで役立つのが全国狩猟免許研究会(秀和システム)が発行する「絶対合格テキスト&予想模試3回分」シリーズだ。わな猟版・銃猟版とそれぞれ用意されており、予想模試が3回分収録されている点が独学者には心強い。購入者のレビューを見ると「試験合格だけなら猟友会のテキストで十分だが、免許取得後も使える生きた知識が身につく」という評価が多く、免許を取ってから実際に役立てたいという人にも向いている。ただし、この本「だけ」で技能試験は乗り切れないことを念頭に置いておくこと。
⚠ テキスト選びで気をつけること
古いテキストには狩猟鳥獣として「バン」「ゴイサギ」が含まれている場合がある(令和4年9月以降は対象外)。また、さらに古い書籍には「ムササビ」「リス」「コオリガモ」などが記載されているものもある。必ず最新の法改正に対応した版を使うこと。出版年と法改正の対応状況を購入前に確認してほしい。
Step 3:鳥獣判別を「瞬発力」で答えられるようにする
問題集で知識を入れたら、次は鳥獣判別の「瞬発力トレーニング」が必要だ。5秒という制限時間は想像以上に短い。Tがやっていたのは、狩猟読本の鳥獣ページを閉じてから、「この種の特徴は?」と自分に問いかける反復練習だ。覚えにくい種は、語呂合わせや見た目の特徴で記憶に紐づけるといい。たとえばイタチはオスとメスで体サイズが大きく違い、頭胴長15〜20cmならメス(狩猟不可)、30〜40cmならオスという目安を体で覚えておくと本番で迷わない。
Step 4:実技対策——「予備講習」は任意だが、わな猟は事実上必須
どのテキストを使っても、わな猟の実技対策だけはテキストと本番の間に「体を動かす練習」が必須だ。猟友会が主催する事前予備講習に参加することを、Tは強く勧める。「任意の講習」と書かれているが、現場を知るハンターの間では「受けないと実技は危ない」という認識が一般的だ。架設の手順を実際に体験することで、本番のパニックは格段に減る。なお、銃猟の場合は銃の操作手順(銃口を自分や他者に向けない、分解・結合の手順など)が技能試験で直接問われる。講習で具体的な減点ポイントを教えてもらうことが、最短合格への近道になる。
| 教材・リソース | 主な使い方 | カバーする落とし穴 | コスト |
|---|---|---|---|
| 『狩猟読本』(環境省監修) | 全体像の把握・鳥獣判別イラストの習熟 | 落とし穴② | 講習で無料配布(都道府県による) |
| 絶対合格テキスト(秀和システム) | 法令・猟具・鳥獣知識の筆記対策・模試 | 落とし穴③ | 市販書籍(約2,000〜2,500円程度) |
| 猟友会事前予備講習 | 猟具の実際の架設操作・銃の取り扱い体験 | 落とし穴①(最重要) | 有料(数千円程度、都道府県によって異なる) |
| 環境省「狩猟鳥獣の見分け方」資料 | 鳥獣判別の補足・誤認防止の確認 | 落とし穴② | 環境省サイトから無料ダウンロード可 |
| スマホ対応過去問サイト | スキマ時間の筆記対策・反復学習 | 落とし穴③の補強 | 無料サイトあり |
実例:ハンター不足の深刻化と免許取得者増加の二面性(2025〜2026年)
ここ数年、若者や女性を中心に狩猟免許の取得者が増加傾向にある。20代の取得者は2006年ごろの約2,100人から直近では1万人近くまで増えてきた。ジビエブーム・アウトドアブームもあり「週末ハンター」を目指す人が増えているのは確かだ。一方、ハンターの高齢化と地方での担い手不足は深刻なままで、クマ対策や鳥獣害対策の現場が追いついていない。免許を取ること自体は入口であり、その後地元の猟友会に入って実際に現場で動けるようになるまでには、また別の壁がある。免許取得後のことも見据えて動くと、勉強のモチベーションも変わってくるはずだ。
参考:環境省 鳥獣関係統計(2020年)・JBpress「ガバメントハンター」記事(2025年11月)
Pt4:「勉強すれば受かる試験」の先にあるもの
正直に言う。狩猟免許試験は、しっかり準備すれば「落ちる試験ではない」。だが、そこに落とし穴がある。「どうせ受かる」という心理が、準備の抜け漏れを生むのだ。Tが仲間から聞いた話でも、「鳥獣判別で1種類間違えて2点減点、猟具の架設でも少し減点されて、気づいたら70点ギリギリだった」という経験談は珍しくない。減点方式の試験は、失点が積み重なると気づいた瞬間にはもう手遅れだ。
もうひとつ伝えておきたいのは、「免許は取ってからが本番」ということだ。Tも免許を取った直後は「これでハンターだ」と思ったが、実際に猟友会に入って先輩たちと山に入ってみると、知識と現場の感覚がいかにかけ離れているかを痛感した。テキストには「罠は捕獲可能な状態に架設すること」と書いてあるが、実際の山で地面の硬さや落ち葉の状況を読みながら架設するのは、まったく別の話だ。試験勉強は、その現場感覚を磨く「入口」にすぎない。だからこそ、手を抜かずに基礎を固めておいてほしいのだ。
📝 私の視点
免許を取る前、私は「わな猟は銃猟より簡単そう」と思い込んでいた。実際に猟友会の先輩に連れていってもらって初めて、罠の架設がいかに繊細な作業かを知った。地面の状態、動物の歩くルート、踏みしろの調整——テキストには書けない「現場の感覚」が山ほどあった。試験に合格したことより、先輩から「まあまあ筋がいいな」と言ってもらえたときの方がずっとうれしかった。免許はスタートラインだ、と今でも思っている。
✔️ 勉強時間の目安
わな猟の場合、筆記対策に10〜15時間、鳥獣判別の反復練習に5〜8時間、実技の予備講習を含めた練習に2〜3回の実地体験——これが最低ラインだと感じている。銃猟(第一種)は銃の取り扱い・目測・鳥獣判別と項目が増えるため、全体で30〜40時間を見ておくと安心だ。ただし、個人差はあるので「時間を確保しすぎる」くらいのつもりで構わない。
まとめ:今すぐ始められることがある
「どうせ受かる試験」という油断が、本番の失点を生む。反対に「落とし穴を知っている人」は、短い準備時間でも的確に合格できる。Tが伝えたいのはそこだ。以下のことを今週中に一つ動かしてほしい。それだけで合格への道筋は大きく変わる。
●地元都道府県の猟友会サイトで「事前予備講習」の日程を確認する。試験日程の発表と同時に埋まっていくことが多い。早めに動くことが肝心だ。
●受験する免許の種類を決める。わな猟か銃猟かによって、対策の優先順位がまったく変わる。まず「どの免許を取るか」を確定させることが、教材選びの第一歩だ。
●環境省の「狩猟鳥獣の見分け方」資料を無料ダウンロードして、一通り目を通す。鳥獣判別の試験範囲の全体像が掴めるだけで、勉強の見通しが立つ。
●テキストを購入する際は、出版年・法改正対応を必ず確認する。2022年以降の鳥獣保護管理法改正に対応しているかどうかがポイントだ。古い本は要注意。
●勉強仲間を一人でも作る。猟友会の先輩や、同じ試験を受ける仲間から情報を集めると、「その県だけの傾向」がわかることがある。ローカルな情報は本番で生きる。
出典・参考資料
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方〜誤認捕獲の防止のために〜」
https://www.env.go.jp/nature/choju/ - 全国狩猟免許研究会(秀和システム)「狩猟免許試験【わな・網猟】絶対合格テキスト&予想模試3回分」
https://www.shuwasystem.co.jp/ - 栃木県「狩猟免許試験事前講習会用テキスト 無料配布のお知らせ」(2025年4月更新)
https://www.pref.tochigi.lg.jp/ - 高知県「狩猟免許試験の試験内容について」
https://www.pref.kochi.lg.jp/ - 東京都環境局「狩猟免許試験について」(2026年3月更新)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/ - 新狩猟世界「わな猟・網猟の実技試験を完全攻略!」
https://chikatoshoukai.com/ - 老いぼれハンターの気ままなブログ「狩猟免許試験対策|鳥獣判別の練習問題(わな猟編)」
https://hunters-blog.com/ - マイナビ農業「狩猟免許の取り方——費用や難易度、始め方を現役ハンターが解説」(2026年4月)
https://agri.mynavi.jp/ - JBpress「過去最悪のクマ被害とハンター不足 ガバメントハンターとは」(2025年11月)
https://jbpress.ismedia.jp/

